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僕だって他力本願に生きたい

大学生ゲイの諸行無常な日々

あの日 -終篇-

同じ場所にいるわけにもいかず,いや正確には居続けることに耐えられなかったために,僕は潜っていくことになった.これまで避けて,あるいは諦めてきたことを,停滞していた時間を取り戻したくなったのである.同時に,自暴自棄で大胆になってもいた.こう…

あの日 -後篇-

テレビから大きな笑い声が聞こえてきて,僕は我に返った.自分の目に涙が滲んでいるのを感じた.彼は平然として,相変わらず雑誌を読んでいた.僕は自分の頭が現実を扱いきれていないことを感じた.疲れている.もったいない,と思った.もっとはっきりとし…

あの日 -中篇-

僕はほとんど衝動的に,彼の身体に触れてもいいか,と聞いた.彼は「上半身だけならいいよ」と平然と許可をくれた.その答えを聞いて,今日始めて救われた気がしたが,同時に目が回りそうだった.ゲイとして,男性に触るのは初めてだった.そんな機会が来る…

あの日 -前篇-

僕がいよいよ耐え切れなくなって,悩みがあると彼に切り出したのは,ゴールデンウィークが始まる前日の夕方だった.今日を逃せば一週間近く彼に会えなくなる.このまま時間だけが過ぎることは辛すぎる,言うなら今しかないと思った. 帰宅する準備を始めてい…

死ぬ時は味方

先日,祖父が死んだ.母方の祖父である.父方の祖父は僕が高校生の時に死んだ.だから,もうお祖父ちゃんと呼ぶべき人はいない. 他界する一週間前に,母から電話が来た.容態が急変して,今夜かもしれないとのことだった.翌日に大学を休んで,数日間帰省す…